2009.02.14 子供が重くなって管理人は腱鞘炎です(泣)
管理人の不手際でPODCASTの音声ファイルを大部分消失しております。再開できるかどうか皆目検討がつきません。大変申し訳ありません……。m(..)m
2008.11.23 管理人は9月下旬に無事女児を出産しました。で、子供も日本福音ルーテル松山キリスト教会で受洗しました。くわしくは「うるかみるくの日記?」にあります。
2008.09.24 podcast音声ファイルに多重のアクセスが寄せられたため、現在アカウント停止しています。管理人はこれから入院しなくちゃならんので、10月いっぱいpodcastほぼ休止状態となります。ご了承ください。(いくつかの音声ファイルは動作してます)
2008.09.10 とりあえず現在の管理人の姿を動画に納めてみました。ミュート(無音)です。ギャグがわかる方のみご覧ください。
「ラジオ体操第2?」
http://dogalog.excite.co.jp/viewvideo.jspx?Movie=48179801/48179801peevee199419.flv
ついでに以前の動画とかもあるのでURL並べます。よろしければどうぞ。携帯からはちょっと無理かも。
*excite Dogalog
http://dogalog.excite.co.jp/mydogalog.jspx?User=48179801
*YouTube
http://jp.youtube.com/ul00mil
2008.07.04 『はなうる』収蔵状況について
2008.06.17 補助サイト(PC対応)で「たわごとそのご」をUPしています。さあ、君はうるかみるくの思考回路についていけるかな?? いちおう携帯はこちらからですが……
2008.03.15 携帯用短編サイトに「恐竜ものがたり」いくつかにわけて収録しました。
2008.03.01 ひさびさの短編「昼下がりのオペ室」むりやり携帯対応しています。
(ちなみにPCの方はこちらになっています。今回は動画コンテンツへのリンクがありますのでPCでの閲覧がオススメです)
2008.02.24 「サザン・ホスピタル掌編集」無理やり携帯対応させてみました。全13話ですが第1話のみリンクしています。
(ちなみにPCの方はこちらになっています。同じく第1話リンク)
2008.02.05 「黒糖風味語訳『みだれ髪』」携帯にも対応しています。
(ちなみにPCのかたはこちらになってます。)
2008.02.02 携帯用短編サイトに「リストカット」いくつかにわけて収録しました。
2008.01.28 「マルディグラの朝」全17話を収録。
2007.12.18 「西原っ子純情」全13話を収録。
(いままで収録した作品は「中短編目次No.1〜20」「中短編目次No.21〜」
を参考にお探しください。)
2007.12.17 クリスマス企画にはかなり程遠いお遊び「うわさメーカーでうわさをながしてみた」
↑結果発表しています↑
2007.10.28 本編携帯サイトPart3に「intermission〜ある反省会」再録しました。これで本編携帯サイトはすべて完結です。不具合などございましたら「掲示板(PC&mobile)」へご連絡ください。
2007.10.14 戯れ歌「汝(ぃやー)や天然記念物」携帯からも見れるようにしました。
(ちなみにPCのかたはこちらになってます。)
なお、更新告知とかで「うるかみるくの日記?(PC&mobile)」や「掲示板(PC&mobile)」などご参考になるかもしれません。よろしければごらんください。
第3回おきなわ文学賞 戯曲・シナリオ部門で佳作
読者の皆様のご声援まことにありがとうございます。
中短編小説の目次は整備中です。No.1〜20/No.21〜
パソコンの方は本家HPやPodcastなどで小説をお楽しみいただけます。ご利用よろしくお願いします。
本家HP:沖縄☆青春小説の館
Podcast:沖縄☆青春小説の館☆朗読箱
2008年11月24日
このサイトについて(最新情報 2009.2.14 )
posted by うるかみるく at 13:00| 日記
2008年07月28日
Sterility Blues
日本語訳などはこちらから。(みなみまさあきさんのブログへとびます。英文ひたすらスクロールすると日本語訳があります)
(This song was bone from the real battle agenst ‘lack of understanding for sterile women’)
***
“In Japan, the declining birthrate is a problem.
So, we'll have to make children to fix it.
If you can't make them sooner, late childbearing brings many symptoms for babies.”
“Do lukewarm studies make you with no sex appeal.
That accounts for to keep away your husband from you, doesn't it?
Do extensive readings make you with no charm in a woman.
That accounts for to keep away storks' luck from you, doesn't it?”
A lot of ridicule, A lot of slanders,
Go round and round in my head.
Kicks up a din in my ears.
Then, the time flies with no regard to my distress.
“You should go to fertility expert A.S.A.P.
There are many clinics for erectile dysfunction.
Better late then never.
Time wait for no women.
You should think about both of your parents.
There are many helps for your parenting.”
To as many as assume, To as many as meddle,
Go round and round in my head.
Kicks up a din in my ears.
Then, the time flies with no regard to my distress.
“In Japan, the declining birthrate is a problem.
So, we'll have to make children to fix it.
If you can't make them sooner, late childbearing brings many symptoms for babies.”
A lot of correct opinions, A lot of plaisible lectures,
Go round and round in my head.
Kicks up a din in my ears.
Then, the time flies with no regard to my distress.
---
This song is written by ulkamilk.

Back to “English Essays index(Weblog)”Click here.
(This song was bone from the real battle agenst ‘lack of understanding for sterile women’)
***
“In Japan, the declining birthrate is a problem.
So, we'll have to make children to fix it.
If you can't make them sooner, late childbearing brings many symptoms for babies.”
“Do lukewarm studies make you with no sex appeal.
That accounts for to keep away your husband from you, doesn't it?
Do extensive readings make you with no charm in a woman.
That accounts for to keep away storks' luck from you, doesn't it?”
A lot of ridicule, A lot of slanders,
Go round and round in my head.
Kicks up a din in my ears.
Then, the time flies with no regard to my distress.
“You should go to fertility expert A.S.A.P.
There are many clinics for erectile dysfunction.
Better late then never.
Time wait for no women.
You should think about both of your parents.
There are many helps for your parenting.”
To as many as assume, To as many as meddle,
Go round and round in my head.
Kicks up a din in my ears.
Then, the time flies with no regard to my distress.
“In Japan, the declining birthrate is a problem.
So, we'll have to make children to fix it.
If you can't make them sooner, late childbearing brings many symptoms for babies.”
A lot of correct opinions, A lot of plaisible lectures,
Go round and round in my head.
Kicks up a din in my ears.
Then, the time flies with no regard to my distress.
---
This song is written by ulkamilk.

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posted by うるかみるく at 00:00| English Essays
2008年07月04日
『はなうる』収蔵状況について
おひさです。
うるかみるくがおきなわ文学賞というものの佳作に2回選ばれている話はあちこちでやっております。(第2回が小説部門「マルディグラの朝」、第3回が戯曲シナリオ部門「産(な)さんぱぁ)」)
これら受賞作品は『はなうる』(財団法人 沖縄県文化振興会)という本に所収され、沖縄県内の書店で発売されております。webだと沖縄教販さんで取り扱っています。
うるかみるくは、あちこちの図書館に自腹で
寄贈しています。現在所蔵が確認できるところを並べておきます。
松山市立中央図書館(1〜3巻)
PC:http://www.city.matsuyama.ehime.jp/tosyokan/
携帯:https://www.tosyokan.city.matsuyama.ehime.jp/i/index.html
千葉市立中央図書館(1〜3巻)
PC:http://www.library.city.chiba.jp/
携帯:http://www.library.city.chiba.jp/mobile/
岡山市立幸町図書館(2巻のみ。1巻と3巻交渉中)
PC:http://www.ocl.city.okayama.okayama.jp/
携帯も上と同じURLのようです。
大和市立図書館(2巻のみ。1巻と3巻交渉中)
PC:http://library.city.yamato.kanagawa.jp/
携帯:http://library.city.yamato.kanagawa.jp/m/
関西沖縄文庫にも寄贈したので本棚に並んでいると思われます。探してみてください。
うるかみるくがおきなわ文学賞というものの佳作に2回選ばれている話はあちこちでやっております。(第2回が小説部門「マルディグラの朝」、第3回が戯曲シナリオ部門「産(な)さんぱぁ)」)
これら受賞作品は『はなうる』(財団法人 沖縄県文化振興会)という本に所収され、沖縄県内の書店で発売されております。webだと沖縄教販さんで取り扱っています。
うるかみるくは、あちこちの図書館に自腹で
PC:http://www.city.matsuyama.ehime.jp/tosyokan/
携帯:https://www.tosyokan.city.matsuyama.ehime.jp/i/index.html
PC:http://www.library.city.chiba.jp/
携帯:http://www.library.city.chiba.jp/mobile/
PC:http://www.ocl.city.okayama.okayama.jp/
携帯も上と同じURLのようです。
PC:http://library.city.yamato.kanagawa.jp/
携帯:http://library.city.yamato.kanagawa.jp/m/
posted by うるかみるく at 10:43| 日記
2008年01月18日
マルディグラの朝 目次
「ニューオーリンズのハリケーン災害に取材した作品を書きたい」という一心で書いたら第2回おきなわ文学賞小説部門で佳作になった、という小説です。
当作品は『はなうる 2006』という作品集に収録され、財団法人沖縄県文化振興会から出版されました。沖縄県内の各書店に注文すれば手に入ると思います。
数箇所手直しをして再収録しました。テキスト配布は現在のところ考えておりません。ご希望の方は掲示板までお問い合わせください。
パソコンの方はこちらが読みやすいと思います。(NOVEL-ALL-index)
マルディグラの朝 第1話/第2話/第3話/第4話/第5話/第6話/第7話/第8話/第9話/第10話/第11話/第12話/第13話/第14話/第15話/第16話/第17話(最終話)
: Read ALL(PC only)
当作品は『はなうる 2006』という作品集に収録され、財団法人沖縄県文化振興会から出版されました。沖縄県内の各書店に注文すれば手に入ると思います。
数箇所手直しをして再収録しました。テキスト配布は現在のところ考えておりません。ご希望の方は掲示板までお問い合わせください。
パソコンの方はこちらが読みやすいと思います。(NOVEL-ALL-index)
マルディグラの朝 第1話/第2話/第3話/第4話/第5話/第6話/第7話/第8話/第9話/第10話/第11話/第12話/第13話/第14話/第15話/第16話/第17話(最終話)
: Read ALL(PC only)
posted by うるかみるく at 00:00| マルディグラの朝
2008年01月17日
マルディグラの朝(17)
☆
さあ、夜が明けたぞ。今日もまた、新しい一日が始まるんだ。
大きく体をそらせ、ノビをする。マルディグラの熱気を伝えるテレビのボリュームを絞って、窓を開けよう。朝食を終えたら、穣治を幼稚園へ下ろして、そのまま大学まで行かなくっちゃ。
いろいろ悩んだけど、あたし、やっぱり医者になりたい。外科医じゃなくて、産婦人科医に。
穣治を産む時、ささやかな疑問が頭をよぎった。沖縄に住む外国人女性たちは、どれほどに心細い気持ちで日々を過ごしているのだろうか。まして、それがお産ともなれば、なおさらではなかろうか、と。彼女たちの力になりたい、できることなら、応援してあげたい。だから、その夢を現実にするために、子育ても学業も全力でがんばっている。
そしてダニエルも、自分の夢を追っている。復興しはじめたニューオーリンズに帰ってからずっと、あちこちのレストランのディナーショーでトランペットを吹いているそうだ。
離婚して三年も経つのに、彼はあたしに欠かすことなくメールを送ってくる。それも、毎日。ちょっと前に、「別れた女のことなんか忘れて、新しい彼女でも作ったらいいのに」って書いたら、速攻でこんなメールが返ってきた。
理那より素敵な女性なんているものか。それより、君の方こそ、どうなんだ? まだ二十七歳だろ。たとえ子連れでも、学生でも、医者への夢を追い続ける君ほどの女を、放っておく奴はいないだろう?
外科学や衛生学のレポートを片付けながら、メールが開いたパソコンの画面に向かって、あたしはあかんべえをする。よく言うよ。沖縄に、いや、世界中のどこにも、あんたほどの男はいないって、よーくわかっているくせに。
「おはよう!」
大声を上げながら穣治が友達を追いかけている。後姿を見送りつつ、あたしは車から下りて、サングラスを外した。髪の毛を軽くなでつけながら、日差しをうけて白く輝く幼稚園の建物と、その上に広がる青空を眺める。
笑わないで聞いてね。あたしが一人前の産婦人科医になって、穣治がもうちょっと大きくなったら、二人でこっそりニューオーリンズへ出かけてみたいの。レストランの一番良い席で大きなザリガニのディナーをつつきながら、ダニエルが高らかに奏でるトランペットのソロを、心行くまで楽しむんだ。
ねえ、これって、他にはなかなか真似のできない、ちょっとカッコいい家族の姿って、思わない?
あたしはサングラスを掛け直し、運転席に戻った。
ニューオーリンズからやってきた元気な太陽が、今日も沖縄の青空をカンカン照らしている。The Beatlesの“Here comes the sun”を大音量で聴きながら、あたしはそのまま、大学へと車を走らせた。
(FIN)
さあ、夜が明けたぞ。今日もまた、新しい一日が始まるんだ。
大きく体をそらせ、ノビをする。マルディグラの熱気を伝えるテレビのボリュームを絞って、窓を開けよう。朝食を終えたら、穣治を幼稚園へ下ろして、そのまま大学まで行かなくっちゃ。
いろいろ悩んだけど、あたし、やっぱり医者になりたい。外科医じゃなくて、産婦人科医に。
穣治を産む時、ささやかな疑問が頭をよぎった。沖縄に住む外国人女性たちは、どれほどに心細い気持ちで日々を過ごしているのだろうか。まして、それがお産ともなれば、なおさらではなかろうか、と。彼女たちの力になりたい、できることなら、応援してあげたい。だから、その夢を現実にするために、子育ても学業も全力でがんばっている。
そしてダニエルも、自分の夢を追っている。復興しはじめたニューオーリンズに帰ってからずっと、あちこちのレストランのディナーショーでトランペットを吹いているそうだ。
離婚して三年も経つのに、彼はあたしに欠かすことなくメールを送ってくる。それも、毎日。ちょっと前に、「別れた女のことなんか忘れて、新しい彼女でも作ったらいいのに」って書いたら、速攻でこんなメールが返ってきた。
理那より素敵な女性なんているものか。それより、君の方こそ、どうなんだ? まだ二十七歳だろ。たとえ子連れでも、学生でも、医者への夢を追い続ける君ほどの女を、放っておく奴はいないだろう?
外科学や衛生学のレポートを片付けながら、メールが開いたパソコンの画面に向かって、あたしはあかんべえをする。よく言うよ。沖縄に、いや、世界中のどこにも、あんたほどの男はいないって、よーくわかっているくせに。
「おはよう!」
大声を上げながら穣治が友達を追いかけている。後姿を見送りつつ、あたしは車から下りて、サングラスを外した。髪の毛を軽くなでつけながら、日差しをうけて白く輝く幼稚園の建物と、その上に広がる青空を眺める。
笑わないで聞いてね。あたしが一人前の産婦人科医になって、穣治がもうちょっと大きくなったら、二人でこっそりニューオーリンズへ出かけてみたいの。レストランの一番良い席で大きなザリガニのディナーをつつきながら、ダニエルが高らかに奏でるトランペットのソロを、心行くまで楽しむんだ。
ねえ、これって、他にはなかなか真似のできない、ちょっとカッコいい家族の姿って、思わない?
あたしはサングラスを掛け直し、運転席に戻った。
ニューオーリンズからやってきた元気な太陽が、今日も沖縄の青空をカンカン照らしている。The Beatlesの“Here comes the sun”を大音量で聴きながら、あたしはそのまま、大学へと車を走らせた。
(FIN)
posted by うるかみるく at 00:00| マルディグラの朝
2008年01月16日
マルディグラの朝(16)
七ヵ月後、あたしは男の子を産んだ。ダニエルそっくりの、真っ黒な子だ。二人が大好きなThe BeatlesのGeorge Harrisonになぞらえて、 穣治( じょうじ)って名づけた。
白人系クォーターの父が、どこからどうみても黒人にしか見えない子供を連れまわして、会う人ごとに
「初孫(はつぃんまが)やいびーん!」
と言って歩くから、近所で穣治を知らない人はいない。
「ベビーカーばかり押して歩いてたから、使わんで打っ掛(ちゃ)けてあった松葉杖から黒カビが生えてさ、もう大変だったさー」
と、今でも母が苦笑しながら会う人ごとに話す。
実は、あれからダニエルとは一度籍を入れたものの、結局、離婚した。
どんなに愛し合っていても、アメリカと沖縄とを往復する生活を続けることは、現実には厳しいものがあった。もちろん、ダニエルは沖縄で暮らすことも考えてはくれたが、彼にとってニューオーリンズは、ジャズの原点であり、自らの出発点でもあり、ずっと離れたままでは生きていられないくらい神聖な場所だ。そして、あたしが穣治をつれてアメリカへ再渡航することには、父も母も祖父母もみんな大反対だった。
同居していない日本人と籍を入れたままにすると、いろいろ好ましくない問題がついて回る。下手をすると、彼のアーティストとしての行動をも縛りかねない。最終的に、慰謝料なしであたしが親権を持つことになった。
憎しみあって別れるわけじゃない。穣治が大きくなった時、もし二人の気持ちが変わらないなら、そのときもう一度考え直せばいい。ダニエルはそう言ってあたしを強く抱きしめてくれたっけ。
白人系クォーターの父が、どこからどうみても黒人にしか見えない子供を連れまわして、会う人ごとに
「初孫(はつぃんまが)やいびーん!」
と言って歩くから、近所で穣治を知らない人はいない。
「ベビーカーばかり押して歩いてたから、使わんで打っ掛(ちゃ)けてあった松葉杖から黒カビが生えてさ、もう大変だったさー」
と、今でも母が苦笑しながら会う人ごとに話す。
実は、あれからダニエルとは一度籍を入れたものの、結局、離婚した。
どんなに愛し合っていても、アメリカと沖縄とを往復する生活を続けることは、現実には厳しいものがあった。もちろん、ダニエルは沖縄で暮らすことも考えてはくれたが、彼にとってニューオーリンズは、ジャズの原点であり、自らの出発点でもあり、ずっと離れたままでは生きていられないくらい神聖な場所だ。そして、あたしが穣治をつれてアメリカへ再渡航することには、父も母も祖父母もみんな大反対だった。
同居していない日本人と籍を入れたままにすると、いろいろ好ましくない問題がついて回る。下手をすると、彼のアーティストとしての行動をも縛りかねない。最終的に、慰謝料なしであたしが親権を持つことになった。
憎しみあって別れるわけじゃない。穣治が大きくなった時、もし二人の気持ちが変わらないなら、そのときもう一度考え直せばいい。ダニエルはそう言ってあたしを強く抱きしめてくれたっけ。
posted by うるかみるく at 00:00| マルディグラの朝
2008年01月15日
マルディグラの朝(15)
全員の目が二人に注がれる中、父の顔が正面からダニエルを捉えた。左頬に広がる大きな赤あざを見て、ダニエルがあっと声を上げた。
“……Doctor!”
「ダニエル? ダニエルどぅやるい?」
急に二人は抱き合い、やがて父が彼の肩を叩いてつぶやいた。
「はっさ! 汝(ぃやー)や、うっぴなーん、躰( ふどぅ)まぎくなてぃ……。You become such a nice fellow!」
台所に居た母が、素っ頓狂な声とともに飛び込んできて、これまたダニエルに抱きついて、叫んだ。
「ダニエル? あんたが、あのダニエルなの? いっぱい探したよ! 今までどこ行ってたの?」
あたしたちが戸惑う中、三人は抱き合って涙を流している。
「ああ、やさ、やたさ。此達(くったー)がー知らん話やてーさ」
ようやく涙を拭いながら、父があたしたちや祖父母の方を向いて、説明を始めた。
「二十五年前、ロサンゼルスで救急勤務そーたるばすに、銃撃さったる黒人ぬ患者さんが運ばってぃちゃしが。うぬ患者さんぬ男(ゐきが)の(ん)子(ぐゎ)やいびさ」
母が父の言葉じりを引き取って、続けた。
「養子縁組に行った先で、ひどい虐待を受けているって手紙が、ロスの孤児院からあったの。お母さんは流産もしたし、いっそ、うちで引き取って育てようと思って。必死で書類取り寄せて送ったら、もう別の州の新しいおうちに行ったって……」
あたしは、あっと息を呑んだ。
それって、じゃあ、ダニエルが話してくれたお医者さんって、お父さんだったの? お父さんがダニエルに、あのトランペットのおもちゃを買ったの?
「トランペット? ダニエル、汝(ぃやー)やトランペット吹ちゆーすんな?」
父の声に応えて、ダニエルは部屋の端っこから黒いカバンを持ってきて、あたしたちの前で開けた。出てきたのはおもちゃではなく、金色に輝く本物のトランペットだ。
ダニエルはAのトーンをプーッと高らかに吹いて、すぐさまメロディアスに演奏をはじめた。このイントロは、サッチモの“What a wonderful world”だ。父と母は互いの手を握ったまま、黙って涙を流した。
七名で昼ごはんを和やかに囲んだあと、ふと思い出した。そうだよ。もう一つ、疑問が残っていたんだ。
「お父さんってば、ダニエルに何か歌を歌ってあげたんだって?」
「あはー。其(う)ぬ様な事ん、あてーさやー」
父はおにぎりを食べ終えると、さんぴん茶を飲みながら「ちんぬくじゅうしい」を歌ってくれた。童謡が大好きだった父は、この曲を子守唄がわりに聴いて育った。だから、傷ついていたダニエルにも、同じ歌を歌って慰めてあげたかったのだそうだ。
トランペットの横で、父は祖父とともにサンシンを構えた。やがて、三名で「ちんぬくじゅうしい」の大合奏をはじめた。目の前に広がったご馳走の山といい、賑やかさといい、まるで披露宴みたいだった。
“……Doctor!”
「ダニエル? ダニエルどぅやるい?」
急に二人は抱き合い、やがて父が彼の肩を叩いてつぶやいた。
「はっさ! 汝(ぃやー)や、うっぴなーん、躰( ふどぅ)まぎくなてぃ……。You become such a nice fellow!」
台所に居た母が、素っ頓狂な声とともに飛び込んできて、これまたダニエルに抱きついて、叫んだ。
「ダニエル? あんたが、あのダニエルなの? いっぱい探したよ! 今までどこ行ってたの?」
あたしたちが戸惑う中、三人は抱き合って涙を流している。
「ああ、やさ、やたさ。此達(くったー)がー知らん話やてーさ」
ようやく涙を拭いながら、父があたしたちや祖父母の方を向いて、説明を始めた。
「二十五年前、ロサンゼルスで救急勤務そーたるばすに、銃撃さったる黒人ぬ患者さんが運ばってぃちゃしが。うぬ患者さんぬ男(ゐきが)の(ん)子(ぐゎ)やいびさ」
母が父の言葉じりを引き取って、続けた。
「養子縁組に行った先で、ひどい虐待を受けているって手紙が、ロスの孤児院からあったの。お母さんは流産もしたし、いっそ、うちで引き取って育てようと思って。必死で書類取り寄せて送ったら、もう別の州の新しいおうちに行ったって……」
あたしは、あっと息を呑んだ。
それって、じゃあ、ダニエルが話してくれたお医者さんって、お父さんだったの? お父さんがダニエルに、あのトランペットのおもちゃを買ったの?
「トランペット? ダニエル、汝(ぃやー)やトランペット吹ちゆーすんな?」
父の声に応えて、ダニエルは部屋の端っこから黒いカバンを持ってきて、あたしたちの前で開けた。出てきたのはおもちゃではなく、金色に輝く本物のトランペットだ。
ダニエルはAのトーンをプーッと高らかに吹いて、すぐさまメロディアスに演奏をはじめた。このイントロは、サッチモの“What a wonderful world”だ。父と母は互いの手を握ったまま、黙って涙を流した。
七名で昼ごはんを和やかに囲んだあと、ふと思い出した。そうだよ。もう一つ、疑問が残っていたんだ。
「お父さんってば、ダニエルに何か歌を歌ってあげたんだって?」
「あはー。其(う)ぬ様な事ん、あてーさやー」
父はおにぎりを食べ終えると、さんぴん茶を飲みながら「ちんぬくじゅうしい」を歌ってくれた。童謡が大好きだった父は、この曲を子守唄がわりに聴いて育った。だから、傷ついていたダニエルにも、同じ歌を歌って慰めてあげたかったのだそうだ。
トランペットの横で、父は祖父とともにサンシンを構えた。やがて、三名で「ちんぬくじゅうしい」の大合奏をはじめた。目の前に広がったご馳走の山といい、賑やかさといい、まるで披露宴みたいだった。
posted by うるかみるく at 00:00| マルディグラの朝
2008年01月14日
マルディグラの朝(14)
「壮宏(たけひろ)か? 何( ぬー)やが? 我(わん)ねー、絶対、行逢( いちゃ)らんくとぅよー」
受話器から懐かしい父の声がする。兄は受話器に向かって冷静に言った。
「せっかく地球の裏側からお客様が来たんだ。会ってやってよ。家族になるんだよ」
「其(う)ぬ様な者(むの)ぉー、家族んかいさる覚えー 無(ねー)らん!」
「父さん、会いもしないで一体何が分かるの? 父さんは医者だろ? 医者は患者さんを選んだりする? わざわざこちらに尋ねてきても、顔色も見ないで帰すの? それが医者のやること?」
長い沈黙が走る。周りがしんとなった。
が、やがて父はこう切り出した。
「分かたん。今(なま)から多恵子と一緒(まじゅん)、向かいさ。やしが、やしがよ、覚(うび)とーきよー。合点ならん時ねー、とっとと家(やー)ぬ門(じょー)からすびち出(ぅんじゃ)すくとぅよ!」
強い口調を残して、電話が切れた。
「……ごめん、おにいちゃん」
あたしは思わず兄に頭を下げた。
「いいよ。きょうだいなんだから」
兄は受話器を置きながら、ぶっきらぼうにそう答えを返した。
約三十分後、父と母が到着した。
久々に父の姿を見て、あたしはあっと小さな声をあげてしまった。大柄な後ろ姿は変わらなかったものの、金色だった髪は藁色に変化し、目のきわや顎のあたりには、細かい皺が刻み込まれていた。左頬にある大きな赤あざも、幼い頃記憶していた鮮やかさはすでになかった。
松葉杖を器用にトントン使いながら、父はあたしの側に寄った。
「勉強んさんぐとぅ、尻切(ちびち)らーっし、帰てぃちょーたるばすい?」
銀縁の眼鏡の奥から発せられる、いつになく鋭い眼光に、あたしは顔を伏せた。父はあたりを見回している。
「あんっし、何処(まー)んかい居( ゐ)参(め)んせーが? お客様んでぃいる人( っちゅ)や?」
ダニエルは、居間の片隅で大きな体を再び小さくしていたが、立ち上がって父の右側へおずおずやってきた。あたしは二人の間に立った。
「ダニエルっていうの。えーっと、ダニエル」
オズボーン、という姓を続けようとした。が、父がいち早く言葉を発した。
“Daniel? Are you Daniel Booth?”
「いや、違うよ。ダニエル=オズボーン」
言いかけたあたしを、ダニエルが両手で制した。
“I haven't gone by that name in years. How come you know that name?”
え? どういうこと?
受話器から懐かしい父の声がする。兄は受話器に向かって冷静に言った。
「せっかく地球の裏側からお客様が来たんだ。会ってやってよ。家族になるんだよ」
「其(う)ぬ様な者(むの)ぉー、家族んかいさる覚えー 無(ねー)らん!」
「父さん、会いもしないで一体何が分かるの? 父さんは医者だろ? 医者は患者さんを選んだりする? わざわざこちらに尋ねてきても、顔色も見ないで帰すの? それが医者のやること?」
長い沈黙が走る。周りがしんとなった。
が、やがて父はこう切り出した。
「分かたん。今(なま)から多恵子と一緒(まじゅん)、向かいさ。やしが、やしがよ、覚(うび)とーきよー。合点ならん時ねー、とっとと家(やー)ぬ門(じょー)からすびち出(ぅんじゃ)すくとぅよ!」
強い口調を残して、電話が切れた。
「……ごめん、おにいちゃん」
あたしは思わず兄に頭を下げた。
「いいよ。きょうだいなんだから」
兄は受話器を置きながら、ぶっきらぼうにそう答えを返した。
約三十分後、父と母が到着した。
久々に父の姿を見て、あたしはあっと小さな声をあげてしまった。大柄な後ろ姿は変わらなかったものの、金色だった髪は藁色に変化し、目のきわや顎のあたりには、細かい皺が刻み込まれていた。左頬にある大きな赤あざも、幼い頃記憶していた鮮やかさはすでになかった。
松葉杖を器用にトントン使いながら、父はあたしの側に寄った。
「勉強んさんぐとぅ、尻切(ちびち)らーっし、帰てぃちょーたるばすい?」
銀縁の眼鏡の奥から発せられる、いつになく鋭い眼光に、あたしは顔を伏せた。父はあたりを見回している。
「あんっし、何処(まー)んかい居( ゐ)参(め)んせーが? お客様んでぃいる人( っちゅ)や?」
ダニエルは、居間の片隅で大きな体を再び小さくしていたが、立ち上がって父の右側へおずおずやってきた。あたしは二人の間に立った。
「ダニエルっていうの。えーっと、ダニエル」
オズボーン、という姓を続けようとした。が、父がいち早く言葉を発した。
“Daniel? Are you Daniel Booth?”
「いや、違うよ。ダニエル=オズボーン」
言いかけたあたしを、ダニエルが両手で制した。
“I haven't gone by that name in years. How come you know that name?”
え? どういうこと?
posted by うるかみるく at 00:00| マルディグラの朝
2008年01月13日
マルディグラの朝(13)
車が着いた先は、西原にある母の実家だった。祖母は、あたしの大好きなアーサのおつゆとソーミンチャンプルーを用意して待っててくれていた。
仏壇に線香を供えて、妊娠の報告をした。相手が黒人だと告げると、さすがに祖父母はびっくりした様子だった。が、トランペットを吹く人だよと言ったら、祖母は
「おじいもサンシン弾くし、多恵子もサンシン弾(ひ)ちゃーつかまえたし、やっぱり血筋は争えないねー」
と言って、笑った。それを聞いた祖父は、ただ
「はーっしぇ」
とだけつぶやくと、ニワトリの餌をやる、と言って、ぷいと席を立った。
あたしはそのまま、祖父母の家に泊まることになった。父が激怒して、あたしを宜野湾の家には上げるなと言ったらしい。
「いいよ。お父さんは頑固だけど、いつか、ちゃんとわかってくれるよ。あんたは、おなかの子供のことだけ考えなさい」
母はそう言って、兄と帰っていった。
翌朝一番に、ダニエルへ国際電話を入れた。長時間の飛行をかなり心配してくれたらしく、ほっとした声が響く。クリスマスシーズンは大事な稼ぎ時だ。年明けまでスケジュールがいっぱいいっぱいで、全く動けない。ニューイヤーのギャラが入ったら、必ず沖縄へ飛ぶから。待っててくれ。
“I love you.” と互いにつぶやいて、キスの音をさせて電話を切った。
あたしは年を越しても祖父母の家にいた。つわりで起き上がるのがしんどかったこともあるが、父の怒りがなかなか収まらなかったからだ。
母は毎日、来てくれた。
「お母さんはつわりのとき、よくタンカン食べてたよ」
と箱いっぱいタンカンを買ってきて、あたしの側で皮を剥いた。確かに、悪くなかった。一日三個は食べていた気がする。
でも、どちらかというと、あたしの好みはブルーシールのチョコアイスクリームだった。兄が勤めの帰りにパイントで買ってきてくれるのだ。あたしがペロリと平らげると、
「さすが、黒人の子供がおなかに入っているだけあるなー」
と、半ばあきれた声がした。あたしは舌を出しておどけた。
そして、とうとう、ダニエルが沖縄へやってきた。
アメリカの免許証しか持ってないあたしに代わって、兄が朝から年休を取って空港へ迎えに行った。幼い頃はよく喧嘩もしたし、あたしのほうが口達者で英語も得意だったのに、ダニエルとジョークを交わしながら戻ってきた兄を目の当たりにして、過ぎた年月の長さを思い知った。
祖父母はにこやかにダニエルをもてなした。彼は最初、二メートルちかくある体を小さく小さくして、じっとおとなしくしていたが、祖母がジューシーメーのおにぎりを差し出すと、大きな口を開けて一気に飲み込んでしまった。周囲から失笑が漏れた。
プロローン、プロロローンと電話が鳴る。母からだ。ダニエルが着いたかどうか確認したかったらしい。そして、電話口で済まなさそうにこう告げた。
「お父さん、まだ怒っているのよ。本当は一緒につれて行って会わせたいんだけどね」
突然、兄があたしから受話器をひったくった。
「母さん、親父に替わって。話がある」
仏壇に線香を供えて、妊娠の報告をした。相手が黒人だと告げると、さすがに祖父母はびっくりした様子だった。が、トランペットを吹く人だよと言ったら、祖母は
「おじいもサンシン弾くし、多恵子もサンシン弾(ひ)ちゃーつかまえたし、やっぱり血筋は争えないねー」
と言って、笑った。それを聞いた祖父は、ただ
「はーっしぇ」
とだけつぶやくと、ニワトリの餌をやる、と言って、ぷいと席を立った。
あたしはそのまま、祖父母の家に泊まることになった。父が激怒して、あたしを宜野湾の家には上げるなと言ったらしい。
「いいよ。お父さんは頑固だけど、いつか、ちゃんとわかってくれるよ。あんたは、おなかの子供のことだけ考えなさい」
母はそう言って、兄と帰っていった。
翌朝一番に、ダニエルへ国際電話を入れた。長時間の飛行をかなり心配してくれたらしく、ほっとした声が響く。クリスマスシーズンは大事な稼ぎ時だ。年明けまでスケジュールがいっぱいいっぱいで、全く動けない。ニューイヤーのギャラが入ったら、必ず沖縄へ飛ぶから。待っててくれ。
“I love you.” と互いにつぶやいて、キスの音をさせて電話を切った。
あたしは年を越しても祖父母の家にいた。つわりで起き上がるのがしんどかったこともあるが、父の怒りがなかなか収まらなかったからだ。
母は毎日、来てくれた。
「お母さんはつわりのとき、よくタンカン食べてたよ」
と箱いっぱいタンカンを買ってきて、あたしの側で皮を剥いた。確かに、悪くなかった。一日三個は食べていた気がする。
でも、どちらかというと、あたしの好みはブルーシールのチョコアイスクリームだった。兄が勤めの帰りにパイントで買ってきてくれるのだ。あたしがペロリと平らげると、
「さすが、黒人の子供がおなかに入っているだけあるなー」
と、半ばあきれた声がした。あたしは舌を出しておどけた。
そして、とうとう、ダニエルが沖縄へやってきた。
アメリカの免許証しか持ってないあたしに代わって、兄が朝から年休を取って空港へ迎えに行った。幼い頃はよく喧嘩もしたし、あたしのほうが口達者で英語も得意だったのに、ダニエルとジョークを交わしながら戻ってきた兄を目の当たりにして、過ぎた年月の長さを思い知った。
祖父母はにこやかにダニエルをもてなした。彼は最初、二メートルちかくある体を小さく小さくして、じっとおとなしくしていたが、祖母がジューシーメーのおにぎりを差し出すと、大きな口を開けて一気に飲み込んでしまった。周囲から失笑が漏れた。
プロローン、プロロローンと電話が鳴る。母からだ。ダニエルが着いたかどうか確認したかったらしい。そして、電話口で済まなさそうにこう告げた。
「お父さん、まだ怒っているのよ。本当は一緒につれて行って会わせたいんだけどね」
突然、兄があたしから受話器をひったくった。
「母さん、親父に替わって。話がある」
posted by うるかみるく at 00:00| マルディグラの朝
2008年01月12日
マルディグラの朝(12)
兄が運転する車の中。後部座席に隣り合った母が言った。
「お母さんね、壮宏(たけひろ)と理那( りな)生む前に、流産したことがあるんだよ。知ってた?」
驚いて首を振ると、母は懐かしそうにこう語りだした。
ある冬の朝、ロサンゼルスで働く婚約中の父に冗談半分で電話を掛けたら、あの父がホームシックを起こして、電話口で泣きじゃくっていたそうだ。
「なあ多恵子、我(わ)ね、サンシン弾からんなたさ! なー、もう、だめだ。助けてくれ、多恵子!」
それを聞いた母は、電話を切るや否や、すぐさまハンドバックとパスポートと空のスーツケースを二つも持って家を飛び出した。沖縄の特産品を山のように詰め込み、那覇空港から本土行きの飛行機をつかまえ、そのまま成田からロサンゼルスへ旅立ったという!
唖然とするあたしに、母はこう語りかけた。
「人間、本気で人を好きになったら、その人のためになんでもしようって思うものだよ。あんたも私の娘だったら、何か仕出かしても決しておかしくはない、そう思ったわけさ。
でもね、理那。お母さんはロサンゼルスで一週間暮らして、お父さんの子を身ごもって帰ってきたけど、それが分かったとき……ちょうど今頃だけど、お父さんが車の事故を起こしてしまったわけ。
右足はもう動かない、だから、医者の仕事を続けられないかもしれない、って書かれた手紙もらってね、お母さん、お父さんの分まで働こうと思った。みんなから結婚を反対されても、お金を稼げば、お父さんの足をリハビリしながら、赤ちゃんと三人で暮らせる。そう思って、妊娠したことみんなに黙って、ずっと働いた。そしたら、流産してしまったわけさー」
母は車の窓から外を眺めて、ため息をついた。
「流産して、お母さん、いっぱい泣いたよ。帰ってきたお父さんと、二人で抱き合って泣いたさ。とっても悲しかった。自分のせいで、せっかくの命が消えてなくなってしまったって、幾回(いくけー)も(ん) 幾回(いくけー)も(ん)肝(ちむ)病(や)でぃ、自分を責めたよ。だからね、神様が授けてくれた命は、大事に大事にしないと。わかった?」
あたしはうなずいて、母にもたれかかった。
この子を守ろう、守り抜いて、産もう。頬を涙で濡らしながら、そう決意した。
「お母さんね、壮宏(たけひろ)と理那( りな)生む前に、流産したことがあるんだよ。知ってた?」
驚いて首を振ると、母は懐かしそうにこう語りだした。
ある冬の朝、ロサンゼルスで働く婚約中の父に冗談半分で電話を掛けたら、あの父がホームシックを起こして、電話口で泣きじゃくっていたそうだ。
「なあ多恵子、我(わ)ね、サンシン弾からんなたさ! なー、もう、だめだ。助けてくれ、多恵子!」
それを聞いた母は、電話を切るや否や、すぐさまハンドバックとパスポートと空のスーツケースを二つも持って家を飛び出した。沖縄の特産品を山のように詰め込み、那覇空港から本土行きの飛行機をつかまえ、そのまま成田からロサンゼルスへ旅立ったという!
唖然とするあたしに、母はこう語りかけた。
「人間、本気で人を好きになったら、その人のためになんでもしようって思うものだよ。あんたも私の娘だったら、何か仕出かしても決しておかしくはない、そう思ったわけさ。
でもね、理那。お母さんはロサンゼルスで一週間暮らして、お父さんの子を身ごもって帰ってきたけど、それが分かったとき……ちょうど今頃だけど、お父さんが車の事故を起こしてしまったわけ。
右足はもう動かない、だから、医者の仕事を続けられないかもしれない、って書かれた手紙もらってね、お母さん、お父さんの分まで働こうと思った。みんなから結婚を反対されても、お金を稼げば、お父さんの足をリハビリしながら、赤ちゃんと三人で暮らせる。そう思って、妊娠したことみんなに黙って、ずっと働いた。そしたら、流産してしまったわけさー」
母は車の窓から外を眺めて、ため息をついた。
「流産して、お母さん、いっぱい泣いたよ。帰ってきたお父さんと、二人で抱き合って泣いたさ。とっても悲しかった。自分のせいで、せっかくの命が消えてなくなってしまったって、幾回(いくけー)も(ん) 幾回(いくけー)も(ん)肝(ちむ)病(や)でぃ、自分を責めたよ。だからね、神様が授けてくれた命は、大事に大事にしないと。わかった?」
あたしはうなずいて、母にもたれかかった。
この子を守ろう、守り抜いて、産もう。頬を涙で濡らしながら、そう決意した。
posted by うるかみるく at 00:00| マルディグラの朝
